自賠責保険の重過失減額とは~詳しく解説します~

今回は自賠責保険の重過失減額について解説します。

過失相殺とは

重過失減額の解説の前に過失相殺について説明をします。

過失相殺とは民法772条2項に規定があり、損害の発生またはその拡大について被害者に過失があるときは、裁判所はこれを考慮して損害額を算定することができます。

例えば、Aが車を運転中、前方不注意によりBをはねて即死させてしまった場合、Bに信号無視をしたという過失があれば、Aの損害賠償額は妥当な範囲で軽減されるのです。
ただし、不法行為に基づく損害賠償については、過失相殺をするかしないかは裁判所の裁量によります。
また、交通事故における過失割合は道交法上の優先権やそのほか様々な要素によって定められます。

(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

出典:e-GOV法令検索「民法722条」:引用

重過失減額とは

上記で説明したように交通事故の過失相殺は様々な要素により定められますが、自賠責保険は自動車事故被害者の保護・救済を目的としているため、「過失相殺」ではなく「重大な過失による減額」として被害者の過失割合が7割以上認められるような場合に限り、定率方式による減額を行っています。

「死亡による損害」及び「後遺障害による損害」については、被害者の過失割合が7割以上7割未満の場合には20%、8割以上9割未満の場合は30%、9割以上10割未満の場合は50%の減額を行います。
「障害による損害」、「死亡に至るまでの障害による損害」については被害者の過失割合が7割以上の場合に一律に20%の減額を行います。

減額の方法

減額の方法は2パターンあり、積算した損害額が保険金額に待たない場合と積算額が保険金額以上となる場合に分けられます。

積算した損害額が保険金額に満たない場合
⇒積算した損害額から減額

積算額が保険金額以上となる場合
⇒保険金額から減額

減額が行われない場合

後遺障害及び死亡に至る場合を除いた傷害による損害額が20万円未満の場合は、被害者に7割以上の過失が認められても減額は行われず、また、減額により20万円以下となる場合は、一律20万円にすることとしています。

まとめ

自賠責保険は被害者が7割以上10割未満の過失がある場合は減額となってしまいますが、支払われることとなっています。
また、加害者であることを理由に自賠責保険が支払われなかったり、自費や健康保険で受けなければならないといったことはありません。
このようなことを相手の保険会社から言われた場合、交通事故業務に精通している行政書士や弁護士に相談することで解決できる場合があります。

当事務所はこういった相談を無料で受け付けています。
どんな些細なことでも構いませんのでご相談ください。

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